研修会等の期間 令和6年1月22日(月)から1月23日(火)まで
- 研修会等の場所 全国市町村国際文化研修所(滋賀県大津市)
- 研修会等の内容及び感想等
- ジェンダー論で笑って少子高齢化社会を乗り切ろう
ジェンダー平等の観点から、男女の役割分担の重要性を考えたとき、特に家庭内での男性の家事や育児への積極的な関わりは、今後ますます増加する少子高齢化社会において重要な課題であると感じた。特に男性と女性の役割に関する固定概念を変えるためには家事や育児は女性だけの仕事ではなく、共同の責任において行うという意識を育む必要があり、育児休暇制度の拡充や男性が取得しやすい環境の整備、職場での推奨などが求められる。
また、ジェンダー平等についての教育や啓発を通じ、成功事例の共有を図ることで男性が家庭で果たすことのメリットを広く社会に発信していく必要がある。
男性の家事や育児への積極的な関わりは、ジェンダー平等の促進だけでなく、仕事と家庭生活を両立できる社会を実現することが、少子高齢化社会における持続可能な社会を維持する鍵となり、その結果として子どもの健全な成長や家庭の幸福感の向上にも寄与するのではないだろうか。
社会全体での意識改革、制度の整備、教育の強化などによる多角的なアプローチを通じ、自分がどのようにこの問題に関わっていけるかを考える良い機会となった。
- 誰もが役割をもち生きていく共生社会の実現に向けて
共生社会の実現に向けて、特に高齢者が活き活きと生活できる居場所の確保や地域コミュニティの活性化は重要な課題であり、それを実現するための事例やアイデアを学ぶことができた。
一般的に行政が把握している地域コミュニティは町内会や老人クラブ、デイサービスなどが考えられるが、そこに参加してない人たちは統計上「地域コミュニティに参加していない」という括りとなっているらしいが、実はそれぞれが自分の好きな場所で自分の居場所を確保している例も多い。また、高齢者自身が社会や地域、家族に対して役割を求めている場合も多く、そうした積極的で前向きな方たちに対しての活躍の場を用意していく事も重要だと感じた。高齢者も社会の一員として活躍し、それぞれが居心地の良い居場所を持つことができる地域共生社会を実現するために、地域全体でこの問題を考え、支えながらも尊重する文化を育むことが、共生社会の実現には不可欠だと感じた。
- 日本の財政について―不都合な真実を正視する―
「まずは、過去の政策により、今の日本の悪い財政状態が作られていることについてお詫びする」、「今もてはやされている積極的財政出動やMMT理論は間違いである、どこかのにわかが浅知恵で作った理論だ」、「日本の財政は瀕死の状態である」という言葉を聞いた時、つい数年前まで財務省の事務次官であった講師の責任の無い言葉の羅列に呆れかえった。過去に行った施策(失策)を詫びる(ポーズの)言葉をまるでこの場所で笑いを取るための枕詞にする態度に氏の言葉も全く耳に残らない。
お題目にある「不都合な真実を正視する」は、自身たちの過去の不都合から目を逸らさせ布で覆い隠そうとしているだけ。残念ながら氏の口からは笑えないジョーク交じりの悲観的な言葉しか出てこず、未来への展望や期待が持てる言葉を最後まで聞くことはできなかった。
- 若者の未婚からみた日本の少子化
女性の社会進出や高学歴化が少子化の原因という俗説や、若い世代の価値観や娯楽の多様化を起因とされる少子化も、データを基に分析すれば誤りであり、知識をアップデートする必要があると感じた。
男女がそれぞれ結婚相手に求める条件も昔とは違い、以前は男には収入、女性には容姿というデータもあったが、現在では男女とも性格や家事育児に対する姿勢や能力を求めており、男女とも経済力や安定した雇用がある人ほど結婚率が高く、そうでない人は未婚のままという二極化の傾向のようだ。また、子供の数も収入の多い家庭ほど子どもの数も多く、低いと少ないというデータでは、昔の言葉で「貧乏子だくさん」は当てはまらないとの講師の言葉もデータに基づいた「アップデートすべき事実」である。
近年、ノルウェーなど福祉先進国といわれる北欧の国でも出生率は低下しており、日本のそれとさして変わりが無く、その答えは簡単には見いだせないのではないだろうか。
少子化やその背景にある未婚者の増加、娯楽の多様性による結婚観の変化など、議論を個人の責任に帰すのではなく、我々も現状の把握や知識のアップデートを行い、社会意識の変革や、社会構造を変える努力が必要なのではないかと感じた。