関係人口を“見える化”し、天童とつながってもらう仕組みづくり

 近年、多くの地方都市が直面している「人口減少」という課題。天童市も例外ではなく、最盛期の平成17年の63000人をピークに、今年4月とうとう6万人を割ってしまいました。「6万人を割り込んだ」という話題は少なからず市民にもショッキングなニュースとして話題になりました。若者の都市部流出や少子高齢化などによる地域の活力低下が懸念されていますが、そんな中「関係人口」という考え方が注目を集めています。


「関係人口」ってなに?

定住人口・交流人口との違いとは

これまで、地域にとって重要なのは「定住人口」すなわちその地域に住み続けてくれる人たちでした。もちろんこれは今も重要ですが、現代社会ではライフスタイルの多様化により「住んでいる=地域との深いつながりがある」とは限らなくなってきています。

また、観光などを通じて短期的に地域を訪れる「交流人口」も、地域にとっては大切な存在です。

しかし、これらの中間に位置する新たな概念が「関係人口」です。
これは、居住地は別でも、地域に継続的な関心や関わりを持つ人たちを指し、たとえば、地域のイベントに毎年参加してくれる人、地元特産品を定期購入している人、SNSなどで地域の魅力を発信してくれる人などが含まれるとのことです。



天童市で取り入れたい!

「関係人口」を育てるためのデジタル活用アイデア

関係人口をどうやって増やし、その人たちに天童市との持続的な関係を築いていただけるか──天童市ならではの仕掛けを検討する必要があります。

1. 関係人口に向けた「特典付きデジタル市民カード」の発行

関係人口を可視化し、地域とのつながりを実感してもらうために、物理的な「NFC(近距離通信)機能付きのデジタル市民カード」を導入。

「デジタル市民カード」で特典が受けられる仕組みを構築

  • 地元飲食店・観光施設での割引
  • イベント参加時の優待
  • 天童市オリジナルグッズとの交換 など

カードには専用ページへのリンクが設定されており、スマホなどから特典情報や利用履歴が簡単にチェックできるようにする。

2. 「地域との関わりの履歴」を蓄積・見える化

特典だけでなく、本市との関わりの「履歴」を個人ごとに残す仕組みも用意

  • 参加したイベントなど参加履歴
  • 地域活動への協力履歴
  • SNSでの発信回数や評価

こうした情報を自分自身で確認できるようにすることで、「自分はこの地域に貢献している」という愛着や誇りを持ってもらい、“関係人口”から“準市民”へと意識を育てていけるのではないか。


デジタル技術で、関係人口との“心の距離”を縮める

この取り組みは、行政が一方的に管理するのではなく、「関わってくれた人たちが、自ら地域との関係を育てていく仕組み」です。

デジタルを活用することで、天童市に何度も訪れてくれる人、日頃から応援してくれる人を、しっかり「見える化」し、特典や情報を通じて“つながり”を深めていくことができます。


地域が“関係”に投資する時代へ

人口が減るからこそ、「住んでいないけれど、応援してくれる人たち」をどう地域に巻き込むかが重要な視点だと考えます。

この“関係人口”を育てる仕組みを天童市がいち早く整えれば、新たな地域”天童ファン”、そして未来の定住人口にもつながる可能性があります。

「天童との関係をつなぐ」
そんな新しい地域の在り方を実現できるよう今後もこの課題について考えていきたいと思います。