人口減少社会におけるUターン支援策

 日本は人口減少社会を迎え、地方における過疎化が深刻な課題となっています。その中でも、若者の進学や就職を契機とした都会への流出、特に若い女性の流出が地方の人口減少を加速させています。地方のコミュニティや経済が活力を失い、長期的な地域の存続すら危ぶまれる現状において、Uターンによる地元回帰を促進する方策を考えることが急務となっています。

 天童市でも最大63,000を超えた人口が令和7年には6万人を割り込むなど、市民の間でも人口減少社会に対する懸念が広がっているようです。こうした事も踏まえ、ここでは本市にも喫緊の課題として注目される人口減少社会に対して、地元出身者が地元に戻りたくなる仕組みづくりという視点で考えていきたいと思います。

地方からの流出要因

 地方からの若者流出には複数の要因が絡み合っています。第一に、進学や就職のために都会へ移動するケースです。地方には選択肢の少ない教育機関や就業先しか存在しないことが多く、都会への移動は自身のキャリア形成における合理的な選択とされています。第二に、地方には刺激や娯楽が少ないという若者特有の価値観があります。特に若い女性にとって、地方はキャリアアップや生活の充実感に欠けると映る場合があります。

Uターン支援の具体策

 Uターンを促進するためには、地方に戻ることへの明確なメリットを示し、社会全体でその仕組みを構築する必要があります。

 良質な雇用の創出・地元で魅力的な職場を増やすことは最優先課題です。自治体や商工会議所が連携し、地元企業による新しいビジネスの創出や、既存産業の魅力向上を支援する仕組みが必要です。例えば、リモートワーク環境の充実や企業の地方拠点設立を促進する政策、地元産業におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進、福利厚生を充実させることで、都市部に劣らない雇用機会を提供することができます。

Uターン者への優遇措置を行う企業に対して

 Uターン希望者の採用を優遇する仕組みを導入することが有効です。具体的には、Uターン者を採用した企業に対して税制優遇や助成金を提供する仕組みを構築することが考えられます。また、Uターン希望者に対して、就職活動のサポートやマッチングイベントを開催することも重要です。

奨学金返済の支援

 地方出身の若者が都会での進学や就職後に抱える奨学金の返済は、Uターンを躊躇する大きな要因となっています。これに対して、地方自治体が奨学金返済を一部または全額補助する制度を導入することで、経済的な負担を軽減し、地元への回帰を促すことができます。また、保護者が抱える就学ローンの返済を支援する制度も併せて検討する必要があります。


若者向けのライフスタイル支援

 地方の魅力を高めるためには、生活面での支援も欠かせません。子育て支援の充実や移住者向けの住宅補助など、生活コストを下げる支援策も効果的です。とりわけ山形県は全国的に見て、可処分所得が上位に位置するなど、都会に比べ生活コストが比較的低く抑えることができます。


地元のつながり強化

 地元出身者がUターンを考える際、地域コミュニティの存在は重要な要素です。地元の人々とのつながりを強化するために、同窓会や地域交流イベントを定期的に開催し、帰省した際に地元の良さを再確認できる仕組みを提供することが求められます。


おわりに

 人口減少社会において、地方の活性化を図るためには、Uターン支援が欠かせません。そのためには、良質な雇用の創出、Uターン者への優遇措置、奨学金返済支援、ライフスタイル支援、地元とのつながり強化といった多角的なアプローチが必要です。これらの方策を通じて、地元出身者が安心して、かつ積極的に地元に戻り、新たな地域の未来を共に築く環境を整備していくことが重要です。地方自治体や企業、地域コミュニティが一体となって取り組むことで、人口減少という社会課題に立ち向かう道筋が見えてくるでしょう。

参考資料
・令和4年度山形県若者の定着・回帰の促進に向けた調査について
・若年層の東京移動に関する分析(内閣府)
・女性の県外流出の調査について(山形県)