天童市における移住者増加に向けた課題と解決策
1. はじめに
少子化や若年層の進学等による人口流出は、今日多くの自治体が直面している課題であり、移住者や転入者に対する取組みは天童市においても重要な政策だと考える。そのためには移住希望者に対するアプローチの強化が求められており、本稿では、移住希望者への接触回数の増加、転入者データの収集方法、および天童市の強みの活用について考察し、具体的な解決策を考えるものである
2. 課題の整理
2.1 移住希望者との接触回数の増加
移住先ランキング上位の自治体は、移住フェアや相談窓口を通じて移住希望者と頻繁に接触しているという傾向がある。このことから、移住者数を増やすには天童市も積極的に接触機会を増やす必要がある。
2.2 転入者データの不足
現在、天童市役所の窓口で移住者アンケートを実施しているが、これは任意のものであり、転入手続き時に相談をしていない人々のデータが収集できていない可能性がある。すべての転入者に対して包括的なデータを取得し、移住動機や生活の満足度を把握することが重要である。
郵送でアンケート協力をお願いするなど、より積極的なアクションも必要ではないか。
2.3 移住希望者の本音の把握
移住希望者は、当然ながら他の自治体と「比較検討」しながら移住先を決定する。
移住者が多い自治体のランキングを見ると、別項目で窓口との接触回数が多い自治体ほど結果的に移住者が多いという相関階位系が成り立つことが読み取れる。つまり、希望者との接触が多いほど移住者を獲得できる可能性が高くなるのではないだろうか。
また、Uターンについては、家業の継承や家族の介護などの理由で移住するケースが一般的だが、それ以外でのUターン者から本音の背景をヒアリングできれば、「なぜ天童に戻ったのか」を把握でき、それを強みとして的確な施策が打ち出せる可能性がある。
2.4 天童市の強みの活用
天童市の魅力として、比較的安定した気候や可処分所得の高さなどが挙げられる。これらを効果的に訴求するためには、SWOT分析を活用し、強みを最大限に生かす戦略を考えることが必要である。
3. 課題解決に向けた提案
3.1 移住希望者との接触回数の増加策
3.1.1 オンライン・オフライン両面での情報提供強化
- 移住フェアの参加回数を増やし、他の自治体と比較して優位性をアピール。
- オンラインでも相談会、、遠方の希望者にも対応。
- 県の企画に乗っかるだけではなく、天童市独自で自ら出張ってアピール回数を増やす
- YouTubeやSNSを活用し、移住者のインタビューや市の魅力を発信。
3.1.2 移住希望者向け体験ツアーの実施
- 期間限定で「天童市お試し移住プログラム」を実施し、一定期間の滞在機会を提供。
- 地元企業や農業体験などを通じて、生活や仕事のリアルな魅力を伝える。
3.2 転入者データの包括的収集
3.2.1 転入者アンケートの強化
- すべての転入者(世帯単位)に対し、郵送またはオンラインでアンケートを実施。
- アンケート内容には、移住理由、満足度、課題点などを含める。
- 回答者へのメリット(アンケート送付時に特典も先に渡す)←返報性のルールで回答率UPを目指す
3.2.2 転入者フォローアップ体制の構築
- 転入後一定期間が経過したタイミングでフォローアップアンケートを実施。
- 転入者同士の交流イベントを開催し、定住促進を図る。
3.3 移住希望者の本音を知るためのアプローチ
3.3.1 競合自治体との比較調査(ベンチマーク)
- 他の移住希望者が検討している自治体との比較データを収集。
- 天童市が優れている点、改善すべき点を明確化。
3.3.2 ターゲット層ごとのニーズ分析
- 20代~40代の若年層には仕事や子育て支援策を強調。
- Uターン者への奨学金返済サポート(本人&家族保護者)
- 安心の雇用環境(家族を守る)
- 子育て世代へのアピール(自然、環境、頑張りすぎない生き方、自分らしさの発見)
- 60代以上には、趣味への没頭できる環境、自然環境や医療・活き活きした充実した生活をアピール。
3.4 天童市の強みの最大活用
3.4.1 SWOT分析を活用したPR戦略
- 強み(Strengths): 気候の安定性、可処分所得の高さ。
- 機会(Opportunities): テレワーク普及により地方移住が増加。
- 弱み(Weaknesses): 都市部へのアクセス課題。
- 脅威(Threats): 他自治体との競争激化。
3.4.2 効果的な情報発信
- 具体的なデータを活用し、移住のメリットを明確に伝える。
- あらゆるフェアへの参加(数打ちゃあたる、そもそも打たなきゃあたらない)
- 先輩移住者のインタビューや成功事例を積極的に発信
4. 結論
天童市が移住者を増やすためには、接触回数の増加、転入者データの収集強化、移住希望者の本音の把握、そして天童市の強みを最大限に活用することが不可欠である。本稿で提案した施策を組み合わせることで、より多くの移住者を呼び込み、持続可能な地域社会の形成につなげることが期待される。