会派視察報告書(広島市・尾道市)

先進地調査等報告書

会派名 てんどう創生の会
半田大介

1 期 間 令和8年1月21日(水)から1月23日(金)まで
2 場 所 広島県尾道市・広島県広島市
3 報 告 下記(1)~(3)に記載

(1)NPO法人 尾道空き家再生プロジェクト(尾道市)

1.視察目的

本市における空き家増加への対応として、行政主導に偏らない「民間起点」の発想・行動により、空き家を地域の資源へ転換し、移住促進、コミュニティ再生につなげる先進事例を学ぶ。

2.視察先の概要
  • 主な取組
    • 空き家を購入・借上げし改修して新用途へつなぐ「空き家再生事業」
    • 2009年から尾道市と協働しての「尾道市空き家バンク」運営
3.尾道における空き家増加の背景

尾道は、海沿いの山が迫る独特の地形により、旧市街地に急斜面・細街路・路地が多い。高齢化が進む中で、住民が住み続けたくても維持管理が困難になりやすい。加えて、狭小地や斜面地、道幅の制約などから、売却や利活用が進まず空き家化が固定化しやすく、建替えも難しいとのことで、 こうした「地形×高齢化」の複合要因が、空き家増加の土台となっている。

4.NPOの取組の特徴(民間主体ならではの強み)
  1. 空き家を“若い人のチャレンジの場”へ転換
    空き家を再生し、カフェ・ギャラリー等の新たな地域の魅力・観光資源へつなげていて、再生実績は20軒以上とのこと。
  2. 「単なる物件紹介」で終わらせない仕組みづくり
    相談・マッチング、地域とのつながり、暮らし理解まで含めた支援を重視し、移住・定住の成果につなげている。
  3. 個人の実践からNPO化、実績が行政協力を呼び込む
    代表者が当初は個人で物件取得・改修を積み上げ、NPO法人化と実績の蓄積を通じて、行政との協働につながっていっている。
5.所感

今回の視察では、行政の旗振りを待つのではなく、民間の自由な発想と行動力が時代に求められていることを、現場の熱量とともに強く実感した。
空き家は「課題」でもある一方、見方を変えれば、若者の起業や移住者受入、地域の交流拠点づくりにつながる「資源」となりえると感じた。尾道では、それを民間NPOが主体的に実装し、結果として行政も巻き込む形に発展していた。

尾道市の事例は、地形的制約や高齢化によって増える空き家を、民間の創意工夫で「挑戦の場・交流の場」に転換し、移住や地域活性へつなげた実践である。

本市においても、行政が単独で「空き家を埋める」という発想から一歩進め、民間の自由な発想と行動力を引き出す制度を整えることが、空き家対策と地域活性を同時に前進させる鍵になると感じた。

(2)スタジアムを核とした市街地活性化について(広島市)

1.視察目的

本市における中心市街地のにぎわい創出・回遊性向上に向け、サッカースタジアムを核とした街づくりの実例を学び、施設整備だけに留まらない「周辺空間」「理念」「長期計画」「官民連携」の設計思想を把握し、今後の政策検討に資する知見を得ることを目的とした。

2.視察概要
  • エディオンピースウイング広島(広島サッカースタジアム)を中心に、公園と一体で365日のにぎわいを生む「スタジアムパーク」構想
  • 中心市街地から徒歩圏に立地する「まちなかスタジアム」として整備され、スタジアム単体ではなく、周辺の公園・広場・商業等を含めた回遊性を重視している。
3.主な学び

街の中心部移設の狙いは、試合日だけではない365日のにぎわい創出

これまでのスタジアムでは、市中心地から離れた立地(郊外型)で、アクセスや日常的な回遊への波及が弱くなる課題が指摘されてきたとのこと。
 一方、ピースウイング広島スタジアムは都心近接の立地を大きな特徴とし、中心部との回遊性を高めることで、試合日以外も含めた都市の滞在価値・賑わいへ接続する設計思想が明確である。と感じた。

スタジアムを「単体の箱」で終わらせず、公園・広場・商業・歩行者動線などを含めた「スタジアムパーク」として整備し、日常的に人が過ごせる環境づくりを重視しており、これにより、試合日以外の日でも、人が訪れる導線や仕組みが考えられている。

4.所感

サッカーや野球のスタジアムを核とした地域活性化の実例に加え、広島という都市が持つ「人類歴史上希有な経験」が、80年にわたる都市計画の積み重ねを生み、最終的には100年を見据える街づくりへの取組みへつながっていることを実感した。
 どれも一朝一夕に成るものではなく、しっかりとした「都市計画」という背骨たる理念があるからこそ、文化・観光・スポーツが調和し、都市の魅力として編み込まれている。

今回の視察は、スタジアムを「建てる・誘致する」という話ではなく、街の将来像をどう描き、どう積み重ねるかという本質を改めて考える機会となった。

(3)広島市中央公園エリアマネジメント協議会の取組みについて(広島市)

1.視察目的

広島市中心部に広大な敷地を有する「中央公園」について、周辺地域と一体となって総合的にまちづくりを推進するエリアマネジメントの実践を学び、行政直営ではない民間による管理手法を導入した地域活性化のあり方を学ぶ。

2.視察概要
  • 団体名:広島市中央公園エリアマネジメント協議会
  • 目的:中央公園エリアでの共同プロモーションによりエリアの魅力・価値を高める
3.体制・官民連携の特徴(広島を代表する企業・運営主体が参画)

協議会は、中央公園エリア内の主要施設の運営主体が「正会員/特別会員」として参画し、加えて行政も会員として関わる構造となっていて、広島県を代表する企業が会員となり、それぞれの強みを活かした取組みを行っている。

「行政×指定管理×地元大手企業×メディア×文化団体」が同じテーブルで、イベント・広報・ルール一体調整する“合議体”として設計されている。

4.まとめ

広島市中央公園エリアマネジメント協議会は、スタジアム整備の効果を最大化するだけでなく、公園全体と周辺施設群を横断して「回遊」「広報」「イベント」「ルール」「支援」を統合運営することで、都心部の価値向上を図る枠組みだと感じた。
 本市においても、市街地活性化を施設整備中心で捉えるのではなく、民間の機動力を活かしたエリアマネジメントという概念の導入を検討し、公共空間を“育てる”都市運営へ転換していくことが重要になるのではないかと感じた。

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